岡山大学 大学院自然科学研究科 化学生命工学専攻 生命工学講座 無機バイオ材料工学研究室(早川研究室)

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当研究室について

より優れたバイオマテリアルを求めて

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 無機バイオ材料工学研究室(早川研究室)は岡山大学 大学院自然科学研究科 生命医用工学専攻 生命医用工学講座に所属する研究室です。
 我々の研究室は,1993年の開設以来,生体組織とよく結合し,組織の再生・再建に役立つ医用材料(バイオマテリアル)の研究・開発と関連する教育研究を通して,材料化学の達人の養成に取り組んでいます。具体的な研究としては,金属,セラミックスやガラス,有機高分子と無機高分子骨格の融合した複合材料など,多様な素材の構造を原子や分子レベルで制御して,人工臓器用多孔体や,nm-サイズの針状結晶を規則配列させた歯や骨の構造を模倣した材料など,より優れた性質・新しい機能をもつバイオマテリアルの創製を進めています。さらに,国内外の先生方と共同研究も盛んに行っています。

研究内容

高配向性酸化物多結晶体の創製

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歯のエナメル質では象牙質方向から表面に向かって,ヒドロキシアパタイト(HAp)の結晶の長軸が全てほぼ同一方向に,互いに平行に配列している。水溶性の板状ガラス基板をリン酸塩水溶液に浸漬し,自己組織化的に配向しながら成長するHAp結晶のナノロッドアレーを創製している。






1) S. Hayakawa, Y. Li, K. Tsuru, A. Osaka, E. Fujii, K. Kawabata, "Preparation of Nanometer-scale Rod Array of Hydroxyapatite Crystal", Acta Biomaterialia, 5[6], 2152-2160 (2009).

部分イオン置換型ヒドロキシアパタイトの創製

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ヒドロキシアパタイト(HAp)結晶構造中の結晶構造及び構造の乱れは,生体内分解性を調節し,表面の非結晶質領域は細胞増殖因子等の生理活性物質の吸着に影響を及ぼす。HApに各種オキソ酸イオンを導入し,その周囲の局所構造および各種特性との関係を明らかにしている。




1) S. Hayakawa, T. Kanaya, K. Tsuru, Y. Shirosaki, A. Osaka, E. Fujii, K. Kawabata, G. Gasqueres, C. Bonhomme, F. Babonneau, C. Jaeger, H.J. Kleebe, "Heterogeneous structure and in vitro degradation behavior of wet-chemically derived nanocrystalline silicon-containing hydroxyapatite particles", Acta Biomaterialia, 9[1], 4856-4867 (2013).
2) S. Barheine, S. Hayakawa, A. Osaka, C. Jaeger, "Surface, Interface and Bulk Structure of Borate Containing Apatitic Biomaterials", Chemistry of Materials, 21[14], 3102-3109 (2009).

金属材料表面への生体活性付与

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金属チタンおよびチタン合金は,整形外科・歯科分野で医用材料として用いられている。しかしながら,骨組織と直接結合しないため,表面改質により骨組織との結合性を高める必要がある。化学処理,熱処理や電気化学処理の手法を用いて金属材料の酸化処理を行い,直接骨と結合する性質を持つ金属材料を開発している。また,金属が血液と接触した場合の抗血栓性も検討している。



GRAPE® Technology

人工関節や膝関節などと元の骨組織との接合は機能回復に重要です。私たちは「ナカシマメディカル(株)」と協力して,細い溝をつけたインプラントを~500°C程度で加熱するだけの簡単な方法で優れた骨結合性を有するインプラントの開発を達成しました。接合には骨と同じアパタイト粒子が溝の内部に層状に析出して,このアパタイト粒子層を介して骨と化学的に結合することが重要であり,これを岡山県の特産品の一つであるブドウに因んで「GRAPE® Technology (GRoove and APatitE)」と名付け,国の先端医療開発特区(内閣府)の一つとして取り組んでいます。この研究は2009年11月,おかやま産学官連携大賞を受賞しました。


1) K. Uetsuki, S. Nakai, Y. Shirosaki, S. Hayakawa, A. Osaka, "Nucleation and growth of apatite on an anatase layer irradiated with UV light under different environmental conditions", Journal of Biomedical Materials Research, 101A[3], 712-719 (2013).
2) A. Sugino, C. Ohtsuki, K. Tsuru, S. Hayakawa, T. Nakano, Y. Okazaki, A. Osaka, "Effect of spatial design and thermal oxidation on apatite formation on Ti-15Zr-4Ta-4Nb alloy", Acta Biomaterialia, 5, 298-304 (2009).

3) A. Sugino, K. Tsuru, S. Hayakawa, K. Kikuta, G. Kawachi, A. Osaka, C. Ohtsuki, "Induced deposition of bone-like hydroxyapatite on thermally oxidized titanium substrates using a spatial gap in a solution that mimics a body fluid", Journal of the Ceramic Society of Japan, 117, 515-520 (2009).

4) J-M. Wu, S. Hayakawa, K. Tsuru, A. Osaka, "Low-temperature Preparation of Anatase and Rutile Layers on Titanium Substrates and Their Ability To Induce in Vitro Apatite Deposition", J. Am. Ceram. Soc., 87[9], 1635-1642 (2004).

  • Prof. Jinming Wu (Zhejiang University)
  • 5) X-X. Wang, W. Yan, S. Hayakawa, K. Tsuru, A. Osaka, "Apatite deposition on thermally and anodically oxidized titanium surfaces in a simulated body fluid", Biomaterials, 24, 4631-4637 (2003).

  • Prof. Xiao-Xiang Wang (Zhejiang University)
  • 有機-無機複合体による組織工学用足場材料の創製

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    軟組織を置き換える為の人工材料として,骨結合性を有する無機物質を骨格もしくは構造中に有し,これを柔軟な有機成分や天然高分子で修飾した,組織結合性を有する有機-無機ハイブリッド体の設計・合成を行っている。また,生体組織欠損部が,自己回復力によって再生される場合,組織再生と共に材料自身が分解・吸収されることが望ましいことから,生分解性高分子に無機分子を修飾し,柔軟性と生分解性を併せ持つハイブリッド型生体材料を開発している。


    1) Yuki Shirosaki, “Preparation of organic-inorganic hybrids with silicate network for the medical applications”, Journal of the Ceramic Society of Japan, 120 [12], 555-559 (2012).

    2) Y. Shirosaki, K. Tsuru, H. Moribayashi, S. Hayakawa, Y. Nakamura, I.R. Gibson, A. Osaka, “Preparation of osteocompatible Si(IV)-enriched chitosan-silicate hybrids”, Journal of the Ceramic Society of Japan, 118[11], 989-992 (2010).

    3) Y. Shirosaki, K. Tsuru, S. Hayakawa, A. Osaka, M.A. Lopes, J.D. Santos, M.A. Costa, M.H. Fernandes, “Physical, chemical and in vitro biological profile of chitosan hybrid membrane as a function of organosiloxane concentration”, Acta Biomaterialia, 5[1], 346-355 (2009).

    共同研究

    フランス国立科学研究センター/パリ第六大学, Dr. Florence Babonneau 固体NMR分光法によるアパタイトセラミックスの構造解析
    ドイツ連邦材料研究/材料試験研究所(BAM),

    Prof. Christian Jäger

    ナノアパタイト粒子とタンパク質の相互作用
    バーミンガム大学, Dr. Artemis Stamboulisエレクトロスピニング法によるPVAファイバーマットの作製
    ポルト大学, Prof. Maria H. Fernandes有機-無機複合体による組織工学用足場材料の創製
    アバディーン大学, Prof. Iain Gibson有機-無機複合体による組織工学用足場材料の創製
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科チタン系インプラント材の表面改質による生体適合性制御
    九州工業大学若手研究者フロンティア研究アカデミー, 准教授 城﨑 由紀有機-無機複合体による組織工学用足場材料の創製